衣類などに使われているトリアセテートという素材をご存知でしょうか?
アセテートとトリアセテートの2種類ですが、これらは半合成繊維と呼ばれる植物や動物からとれる原料を科学的に処理し、合成したものです。
その科学的な処理というのは、木材パルプのセルロース成分に酢酸させて作られた繊維なのです。
今回は、このトリアセテートの特徴とメリットデメリットをご紹介すると共に、トリアセテートとポリエステルの違いやトリアセテートとポリエステルの混合品の洗濯方法などをご紹介していきます!
トリアセテートの特徴とメリットデメリットについて
トリアセテートの主な特徴とメリットデメリットを見ていきましょう!
【トリアセテートの特徴】
・乾燥が早いので脱水が簡単である。
・水分が繊維に染み込みにくいので、シミになりにくい。
・シルクのように光沢があるので、シワになりにくい。
【トリアセテートのメリット】
・年中、着られる素材。特に夏服に多く用いられる。
・しっとりとして柔らかい素材。
・着たときのドレープが美しく、シルエットが綺麗です。
・熱が加えられると、形を固定する性質があるのでプリーツセットに有効。
【トリアセテートのデメリット】
・マニキュアの除光液が掛かってしまうと、繊維が溶けてしまうので注意が必要。
ペンキなども注意が必要です。一度これらのもので汚してしまうとプロでも処理に時間が掛かる非常に難しい作業になります。
・車やストーブなどから排出されるガスに弱く、変色、退色することがある。
これは「酸化窒素ガス(NOx)」により変色するのです。
・アルカリに弱い。
石鹸やアルカリ性の粉末洗剤は使わないようにしましょう。
・着用時はシワになりにくいが、洗濯で脱水するとシワが取れにくい。
脱水する時は一瞬だけ脱水して、水が滴り落ちる程度にしてそのまま干せばシワを伸ばせます。
このように特徴はメリットでもあるのですが、排気ガスで変色したり除光液に弱かったりと非常にデリケートな部分もあるので、お洗濯にも気を付けないといけない素材ですね。
漂白剤を使う時は液体酵素系にします。
白い生地の場合は、還元系のものを選びましょう。
トリアセテートとポリエステルの違いは?
トリアセテートとポリエステルの違いについてです。
・ポリエステルは、合成繊維でトリアセテートは半合成繊維です。
「合成繊維」…石油が原料で強度があって重度が軽いというのが特徴です。
利点は、吸水性が低いことにより保管の際にありがちな虫食いやカビなどにやられる可能性が低いという利点があります。
合成繊維の代表格繊維は、ポリエステルの他にナイロン、アクリル、ポリウレタンがあります。
「半合成繊維」…天然のセルロースというたんぱく質が主成分で、それを科学的に処理したものです。
光沢があって発色も良く、半合成繊維にはトリアセテートの他にプロミックス、アセテートがあります。
・トリアセテートは熱が加えられると形を固定することができて、プリーツセットなどひだを作る洋服に用いられます。
・対してポリエステルは逆に熱に弱いので、洗濯後アイロンなどを掛ける時は必ず当て布をしてからアイロンを掛けるようにしてください。
1着の洋服にトリアセテートとポリエステルが使われていることがありますが、これはそうしたお互いのそれぞれの弱い部分を補い合うことができるので、一緒に使われることが多いです。
トリアセテートとポリエステル混合品の洗濯は?
トリアセテートとポリエステルには、それぞれの強みや弱みがあってそれをお互いが補い合っているとお話しました。
洋服を作る上でもこの2つの素材は相性が良いのですね。
しかし、そのそれぞれの強みと弱みがあることで、お洗濯の仕方には少々神経を使いそうですね。
この2つの素材の洗濯はどのようにしたらいいのでしょうか?
【トリアセテートの洗濯の仕方】
トリアセテート製品は、洗濯表示を見ても「洗濯機OK」とか「手洗OK」と書かれたものは少ないと思います。
殆どの衣類はドライクリーニングを推奨しています。
でも、最近では手洗いでも大丈夫であったり、洗濯できるというトリアセテートも出てきています。
【トリアセテートの洗濯で使用する洗剤】
市販の洗濯洗剤は、弱アルカリが多いので注意してください。
また漂白剤やシンナーなども使わないように要注意です。
トリアセテートとポリエステルが使われた洋服を洗濯する時は、エマールやアクロンなどのおしゃれ着洗いの洗剤を使うことをおすすめします。
【脱水は短めに】
先ほども少し触れましたが、トリアセテートは脱水をしっかり行ってしまうとシワになりやすい素材です。
少し水が滴るくらいの脱水でOKです。長くても1分くらいでやめておきましょう。
【手洗いの仕方】
1:洗面器にぬるま湯を入れ、おしゃれ着洗い洗剤を溶かします。
2:洗面器にトリアセテートの衣類を浸します。
3:衣服全体を洗剤の入ったぬるま湯に染み込ませたら、優しく押し洗いします。
4:薄い生地の衣類の場合は、振り洗い程度で十分です。
5:汚れ落ちしたら、洗面器のぬるま湯を新しいぬるま湯に入れすすぎ洗いします。
2~3回すすぎ洗いしてください。
6:洗い終わったら、洗濯機で1分以内の脱水を行い、取り出したら洋服を丸めて軽く水気を絞り、バスタオルなどの大き目の乾いたタオルに包んで水気を取ります。
7:干す時は、風通しの良い場所でなるべく日陰で干しましょう。
【アイロン掛けする際の注意点】
アイロンは必ず低温で行ってください。
前述しましたように、トリアセテートなどは熱が加わると形が固定される性質を持っています。
良い形に固定できたら良いですが、洗濯直後は形が悪いのでそのまま強い熱にあててしまっては悪い形のまま固定されてその悪いシワが取りにくくなります。
ですから低温で必ず当て布をしてアイロン掛けしてください。
当て布をするのはテカリを抑えるためです。
アイロンは決して押し付けずに、サッと撫でるようにプレスしましょう。
まとめ
いかがでしたか?
ポリエステルはよく聞いたことがあると思いますが、トリアセテートというのは実は私も始めて聞いたような気がしました。
ですが、洋服やユニフォームなどに便利に用いられていますし、意外と私たちの身近にあったのですね。
おうちで洗濯するには少々注意することが多く、素人には難しい点もあるでしょう。
大切な衣類でしたら無理をしないで、クリーニングに出してプロの手で綺麗に仕上げてもらいましょうね!
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